津軽塗(つがるぬり)とは?特徴 / 歴史 / 価格 / 販売元までご紹介!

2020年8月30日

最近ワインとチーズで晩酌するのが毎日の楽しみなライカです。

今日は「津軽塗」についてまとめていきたいと思います!津軽塗は漆の塗り物の中でも有名な伝統工芸品の一つですが、その特徴や産地、技法等を詳しくまとめてみました!

津軽塗とは?

名称津軽塗(つがるぬり)
分類漆器
産地青森県 弘前市、青森市、黒石市、平川市、藤崎町、板柳町、深浦町など
製品箸、汁椀、家具、座卓、茶器、食器、文箱、盆類、硯箱、花器など

「津軽塗」の正確な定義というものは存在しないが、一般的には津軽地方で生産される伝統漆器の総称とされる

定義ないんかい!とつっこみつつ、さらに深堀りです。なんたって、経済産業省指定の国の伝統工芸品。もっと詳しくなっていて損はありません。次は、津軽塗の歴史を紐解いてみましょう。

津軽塗の歴史

津軽地方における漆器産業としての歴史・伝統は古く、その起源は江戸時代中期にさかのぼります。

津軽塗の創始者・池田源兵衛

1646年、江戸時代前期の弘前藩(現在の青森県)大名である津軽信義の子、三代目藩主信政が、塗師の「池田源兵衛」を召し抱えたことが起源だと言われています。

弘前の産業を育成・発展させるために、信政は多くの技術者・職人を招き入れたといいます。池田源兵衛がその中の1人だったそう。池田源兵衛は、信政の命で江戸におもむき、新しい技法習得のため修行に励みました。

やがて帰藩した池田源兵衛は、江戸で習得した技術に自分の創意を加えて新たな漆器を生み出し、それが津軽塗の起源となったのです。その後、源兵衛が作った漆器を元に様々な職人が工夫を重ね、新たな漆器を生み出していきました。

唐塗の技法が有名に

この時期に発達した漆器全般は、一般的には武家が装身具として身につけていた刀の鞘を装飾するために用いられていました。 そして次第に、刀の鞘だけでなく、様々な品が津軽塗で彩られるようになったのです。

ある商人が記した「津軽見聞記」という文献にはこうあります。

「弘前一流の塗物あり、唐塗という。 文庫、硯箱、重箱、提重、刀、脇差の鞘など塗たるところ~(中略)~格別美事なり。 大阪にて此の塗物贋せさするに中々似るべくもなし」

江戸時代中期には、弘前の塗物は広く名声を博し、「唐塗」の技法が既にこのころ成立していた事もよくわかります。弘前藩も、こうした塗物を幕府や他藩、 朝廷や公家への贈答品として贈ることで、その価値をより高めていたようです。

ウィーン万博で一般化した「津軽塗」

やがて江戸幕府が倒れ経済体制が変化したことで衰退しかけていた塗物の技術でしたが、 青森県が助成を始めたこと、士族や商人による漆器の製造所や組合組織が結成されたことで 、津軽の漆器産業は再び活性化。

日本政府が初めて参加した万国博覧会、明治6年(1873年)に開催されたウィーン万国博覧会では、青森県が「津軽塗」の名前で漆器を出展し受賞。「津軽塗」という名前が一般的となるのは、ここからです。その後、大正時代まで津軽塗産業は大衆化を推し進め生産を拡大していきました。

そして現在となっては、お椀など食事で使えるものや、ボールペンや万年筆といった文房具にまで使われていますね。特に津軽塗の食器や文房具は鮮やかな色彩やその珍しさから、お土産としてとても人気があります。

津軽塗の特徴

特徴① 一定の地域で産地形成

そんな歴史ある津軽塗は青森県唯一の経済産業大臣指定伝統工芸品。この経済産業省指定の伝統工芸にはいくつかルールがあるのです。

出典(ふるさとチョイス)

そのなかでも特徴的なのが、「一定の地域で産地形成されていること」。「一定の地域で産地形成されていること」とは一体どういうことなのでしょうか?調べてみると、

「一定の地域で、ある程度の規模の製造者があり、地域産業として成立していることが必要です。ある程度の規模とは、10企業以上または30人以上が想定されています。個々の企業だけでなく、産地全体の自信と責任に裏付けられた信頼性があります。」
参考(財団法人 伝統的工芸品産業振興協会)

つまり、青森県内の伝統工芸品の中で、産業として成立し業界が形成されているものでなければ伝統工芸として認められず、現在その唯一の伝統工芸品が、「津軽塗」ということになります。産業として成立しているかどうかがポイントなのだそうです。

特徴② 堅牢で優美

津軽塗は日本最北端の漆器産地、青森県弘前市を中心とする津軽地方の伝統的な漆器。その特徴は、堅牢で実用性に富んでいると同時に、非常に優美な外見を持つ、というところにもあります。

津軽塗で用いられる「研ぎ出し変わり塗り」という技法は、幾重にも塗り重ねた漆を平滑に研ぎ出して模様を表すという工程が特徴的な方法です。この繰り返しに数十回の工程、二か月以上の日数を費やすことで、複雑で美しい漆模様と、頑丈でしっかりした触感が得られるのだと言えるそうです。とても手間のかかる工芸です。

出典(ふるさとチョイス)

特徴③ 津軽塗は模様であり塗りである

藩政時代には様々な塗りの技法が存在しましたが、現代まで伝わっているのは代表的な四種類の技法「唐塗」「七々子塗」「錦塗」「紋紗塗」。

これらの技法を基に作られていることから、津軽塗は模様であり、塗りでもある、ということが言えるのです。多くの産地の漆器は塗装した上に模様を施したものがほとんどですが、津軽塗は何層も塗り重ねていることから、底から発する奥行きがあり、器にへばりついた力強さがあります。

続いては、この津軽塗の4種類の技法についてもそれぞれ細かく解説していきます!

津軽塗の代表的な技法4種

① 唐塗(からぬり)

津軽塗の代名詞、定番中の定番「唐塗」。 鮮やかな色漆の断層模様が浮かび上がる深い味わいと幻想的な輝き、素朴で力強ささえ感じさせる重厚な塗りが特徴。唐塗は津軽塗の代表的な4技法の中でも最も古い歴史を持つ塗りで、津軽塗の技術的特色が集約された技法です。

唐塗の「唐」には、当時の高級な舶来品「唐物」にちなんで高級感・珍しさの意味を込めたものだと言われています。 唐塗は「呂上げ」「黒上げ」「赤上げ」等、地色の違いなどにより多彩なバリエーションがあります。

② 七々子塗(ななこぬり)

江戸小紋風の小さな輪紋を散りばめた、上品で高級感の漂う塗り。 唐塗とはがらっと雰囲気が変わり、繊細で可愛らしく、特に赤や朱の使われている塗りは女性に圧倒的な人気を誇ります。

七々子塗は、その小さな輪紋模様が魚の卵(ななこ)に似ている所から「ななこ塗」 と呼ばれるようになりました。その輪紋は菜種を使用して作り出され、これをムラなく綺麗に仕上げるにはとても高度な技術を要します。津軽塗職人の中でも、美しい七々子塗を仕上げることのできる職人は少なく、とても高級な塗りです。

③ 紋紗塗(もんしゃぬり)

津軽塗の中で異彩を放つ、黒一色の渋い塗り「紋紗塗」。 黒漆の模様に紗(津軽地方で、もみ殻のこと)の炭粉を蒔き、研ぎ出して磨き仕上げます。 艶消しの黒の地色に、艶のある漆黒の模様が浮かび上がる様は、重厚で格式を感じさせるとともに、シンプルで現代のライフスタイルにも取り入れやすく、近年人気が高まっています。

④ 錦塗(にしきぬり)

錦塗は七子塗りの変化の一種で、ななこ地に黒漆で唐草や紗綾形を描き錫粉を蒔いて錦を想わせるような華やかな技法で、製作には非常に手間がかかり、高度な技術を要します。その豪華絢爛ぶりは、金や銀の蒔絵に憧れた津軽塗職人の意地と情熱によるものと言えます。

津軽塗の作り方

ここで、そんな歴史ある津軽塗の作り方についても簡単に解説しておきます。

何度も何度も繰り返す塗りと研ぎが特徴の津軽塗は、木地下地塗りの3つの工程を経て作られています。ここでは、唐塗(からぬり)による津軽塗のできるまでをご紹介します。

作り方 – 工程① 木取り

木材を乾燥させた後、用材ごとに切り分けます。木取りでは芯や木質の固いところ節や割れのある部分などを大まかに切り落とします。

作り方 – 工程② 布着せ

津軽塗で最も多く行われている下地づくりの方法、布着せ。研磨した木地全体にむらなく漆を刷り込み防水加工した後、米糊と漆を練り合わせた糊漆(のりうるし)を麻などの布に塗り、木地の表面に布をしっかり密着させ巻き付けます。

作り方 – 工程③ 地付け

最初に下地材の中で最も粗い地漆をつけ、徐々に細かい漆を塗っていきます。津軽塗の地漆には山科地の粉(やましなじのこ)、糊漆、生漆を練り合わせたものを使い、ヘラを使って均一に塗ります。地漆が十分乾燥したら表面を平らに研ぎ、地漆より細かい切粉、錆漆を同様に塗っては研ぎます。ここまでの研ぎは木地を濡らさないために水をつけずに研ぐ方法を用います。

作り方 – 工程④ 仕掛け

できあがった下地の上に斑点模様をつけます。ここで使う仕掛漆は顔料、素黒目漆(すぐろめうるし)、卵白を練り合わせて粘度を高めたものを使います。仕掛けベラに漆を取り、軽く叩くようにしながら全面に斑点模様をつけます。漆の内部まで乾燥させるために日数をかけてゆっくり乾燥させます。

作り方 – 工程⑤ 塗掛け

乾いた仕掛漆の上に色漆を刷毛塗りします。仕掛け模様をはっきり出せるように仕掛けとは対比の強い色を用います。黒い仕掛けに対しては黄色の漆が使われることが普通です。

作り方 – 工程⑥ 彩色

唐塗の色調に彩りを添えるため色漆で散らし模様を描くことを彩色といいます。朱と緑が使われることが多く、これらを両彩色と呼ばれます。模様の散らし方によって同じ物が二つとない唐塗独特の模様ができます。
彩色の上には透明で茶褐色の素黒目漆を塗り、派手な発色を落ち着かせます。

作り方 – 工程⑦ 妻塗り

全面に色漆を薄く均一に塗るのが妻塗りです。素黒目漆を塗った上に錫粉を蒔きつけます。
妻塗りによって唐塗模様を研ぎ出した時、地色と模様の境目を縁取り、模様を引き立てる効果を生みます。

作り方 – 工程⑧ 上げ塗り

上げ塗りは上げ漆を塗る唐塗最後の塗り込み工程です。上げ漆をなるべく厚めに刷毛塗りします。唐塗は上げ色によって赤仕上げ、黒仕上げ、梨子仕上げ(なししあげ)などと呼ばれます。これまでの工程で仕掛けの上にいろいろな色漆が塗り重ねられ凹凸の層ができています。この層に唐塗独特の抽象模様が閉じ込められているのです。

作り方 – 工程⑨ 研ぎ

まずは凹凸を大まかに取ります。削り出された面の漆は十分乾燥していないので漆風呂で乾燥させた後、模様を削り出していきます。凹んだ部分には上げ塗りと同じ要領で漆を扱き塗り(こきぬり)し、平らな部分の漆は拭き取ります。

作り方 – 工程⑩ 胴摺り

砥の粉を菜種油で練った油砥の粉を布につけて繰り返し磨き上げます。これまでの研ぎ跡をきれいに磨き取ります。油分が残ると上に塗る漆が乾かないので、油分を完全にふき取ります。千回こすって磨く意味から「千遍(せんべん)こぐり」とも呼ばれます。

作り方 – 工程⑪ 呂塗り(呂色磨き)

津軽塗では呂塗りといいますが、技法上は呂色磨きのことです。呂色漆は磨き用の漆。呂色は【蝋色】、つまり蝋(ろう)で磨いたような肌になるという意味といわれています。炭に呂色漆をつけ、3~4cm四方ずつ、研いでは拭き、研いでは拭きして、塗り面の様子を見ながら全面を磨いて完成です。

津軽塗の修繕・メンテナンス

出典(さんち 〜工芸と探訪〜)

漆塗膜の特徴

・適度な湿気を好む。
・乾燥し過ぎると表面にヒビが入る場合がある。
・直射日光/紫外線/摩擦/急激な温度変化などには弱い。
・堅い繊維類やスチール製のタワシなどでこすると、表面に傷がつくことがある。
・漆塗膜には水が出入りする性質があるため、長時間水の中に放置しておくと、布で拭いても水分が取りきれず、水分の形ができる。
・新品の漆器には、特有の臭いがあるのが特徴。気になる場合、少量の酢を加えた米のとぎ汁でやわらかい布に付けて拭き、そのあとぬるま湯で洗うと臭いが消える。

手入れ方法

  1. ぬるま湯に浸した柔らかく清潔な木綿布(ガーゼなど)をきつく絞り、湿った状態にする。
  2. 湿った布で、津軽塗全体をていねいに拭く。汚れがひどい場合は、湿った布に食器用洗剤を数滴たらす。
  3. 室内に数分、放置して乾かす。食器洗浄機、ドライヤーやストーブなどの機器は使用しないこと。
  4. 洗剤の使用も可能。洗剤を使用した場合は、水滴をつけたままにせず、乾いた布で、ていねいに拭く。

保存方法

  1. 明るい場所を避けて保存する。
  2. 年に数回しか使用しない器類は、和紙に包んで保存する。
  3. 長期間、乾燥した場所には置かず、ときどき外部の湿気を与える。

出典(青森県漆器協同組合連合会

津軽塗の価格は?

そんな津軽塗ですが、気になるのはそのお値段。

津軽塗の箸は1,000円~2万円ほど、汁椀などの食器類は5,000円~5万円以上のものまで、値段の幅は広くピンキリです。

ただし、価格の安いものや、オークションで販売されている津軽塗などは伝統工芸品として価値ある正規品かどうかは定かではありません…。きちんとした贈り物、しっかりと産地などが分かる津軽塗の販売先は以下にまとめておくので、参考にしてみてくださいね!

津軽塗の販売元・オンラインショップ

津軽塗 たなか銘産

創業者「田中柾敏」が13歳で津軽塗を始めてから100年以上が経過。創業73年の老舗です!オンラインストアは見やすく、津軽塗のiPhoneケースなども販売している充実のラインナップ。(https://tanaka-meisan.jp/

小林漆器

青森県弘前市の特産品「津軽塗」を代表する模様、「七々子塗」の普段使いアイテムから斬新なアイテムまで様々取り揃えています。(https://nanakonuri.com/

有限会社イシオカ工芸

イシオカ工芸は津軽塗の卸売販売・展示販売・イベント販・通信販売・
修理などの専門店。津軽塗を中心に、青森県産の民工芸品の販売もしているサイトです。(https://ishiokakougei.com/

まとめ

いかがでしたでしょう?職人の丹精込めた作品でいただくお吸い物なんかは最高だろうなと思うばかりです。

美しさ、技術。それを愛でながらの食卓なんてとても素敵ですね。良いものを長く使っていくことがこれからの時代に合っていると思います。わたしもいつか使ってみたくなりました。